令和3年度 中小企業診断士 2次試験 答案振り返り(事例Ⅳ)
ご覧いただきありがとうございます。
今回は令和3年度の事例Ⅳについて、当日どのように問題を解き、この点数になったのかを自分なりに振り返ってみたいと思います。
令和3年度(2021年度)の試験問題を解いていない人は意味が分からないと思います。
解くか一読してご覧になるのをおすすめします。
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(1)得点と感触(事例Ⅰ~Ⅳ)
まずは、開示請求で判明した得点と、試験当日の感触についてまとめます。
60点は下回っていないでしょう | ||
しくじったかもしれない! | ||
まあまあできた | ||
しくじった! |
事例Ⅳ受験後の率直な感想としては、ご覧のとおり「しくじった!!」でした。
試験ですから毎年どんな問題が出るか分からないのは当然ですが、令和3年度は冷静に対応できていれば60点はクリアできる試験だったと思います。
解ける問題を確実に押さえていれば合格できた科目だったと言えます。
なお、事例Ⅰ~Ⅲの振り返りについては以下を参照ください。
(2)事例Ⅳで「考えたこと」と再現答案
試験当日に考えたこと、その結果どのような答案を作成したのかをまとめます。
ちなみに私は経営指標を全部書く派です。
第1問
(設問2)D社の財務的特徴と課題について、同業他社と比較しながら財務指標から読み取れる点を80字以内で述べよ。
【考えたこと】
▶財務指標を2つずつ、、、珍しいパターン
▶優れている点は売上高総利益率と棚卸資産回転率とすれば説明しやすそう
▶安全性を長期、短期で説明すると多面的?
【再現答案】
(設問1)
①売上高総利益率 27.78%
②棚卸資産回転率 25.79回
③流動比率 128.46%
④自己資本比率 19.85%
(設問2)
地元産にこだわった品ぞろえ、地域密着のセールスで固定客が多く収益性・効率性は高いが、資金を借入金に依存し短期の支払能力が低く、内部留保が少なく安全性が低い
備考
★解答の方向性
ネット上でいろんな方の答案が公開されていますが、今振り返るとベストアンサーは以下の観点から書くことだと思います。
①優れている点は「売上高総利益率」「棚卸資産回転率」とする
②課題を示す点は「売上高営業利益率」「自己資本比率」とする。
理由は以下の通りです
①:D社は地元商品へのこだわり、地域密着スタイルで地元住民の愛顧を獲得しているため、効率性や粗利の収益性が高いと判断できる。
②:一方で多角化による資源分散により販売費が多くかかり営業利益率が低く、借入金に依存し安全性が低下している。
※短期安全性について
流動比率は同業他社と比べると低いものの、120%以上あるため必ずしも低いとは言えない。
私は(設問2)で収益性の観点から優劣を述べるのが難しいと判断し、安全性の観点から2つ指標を挙げました。冷静に考えると、(設問1)と(設問2)切り分けて回答してよかったと思います。
★「特徴と課題」という設問について
これまでの事例Ⅳのパターンから、収益性・効率性・安全性の3点から回答するのが無難と判断しました。他の受験者の感想も見ましたが、減点要素にはなっていないのでは?
第2問
D社がこれまで、各店舗のレジを法定耐用年数に従って5年ごとに更新してきたが、現在保有しているセミセルフレジ100台を2022年度期首にフルセルフレジへと取り替えることを検討している。またD社は、この検討において、取替投資を行わないという結論に至った場合には、現在使用しているセミセルフレジと取得原価および耐用期間が等しいセミセルフレジへ2023年度期首に更新する予定である。
現在使用中のセミセルフレジは、2018年度期首に1台につき100万円で購入し有人レジから更新したもので、定額法で減価償却(耐用年数5年、残存価額0円)されており、2022年度期首に取り替える場合には耐用年数を1年残すことになる。一方、更新を検討しているフルセルフレジは不随費用込みで1台当たり210万円の価格であるが、耐用期間が6年と既存レジの耐用年数より1年長く使用できる。D社はフルセルフレジに更新した場合、減価償却においては法定耐用年数にかかわらず耐用期間に合わせて耐用年数6年、残存価額0円の定額法で処理する予定である。また、レジ更新に際して現在保有しているセミセルフレジは1台当たり8万円で下取りされフルセルフレジの代価から差し引かれることになっている。
D社ではフルセルフレジへと更新することにより、D社全体で人件費が毎年2,500万円削減されると見込んでいる。なお、D社の全社的利益(課税所得)は今後も黒字であることが予測されており、利益に対する税率は30%である。
【考えたこと】
▶2022年度に起こること
・2500万円の人件費削減(CF+)
・2021年までの減価償却費2000万円
・2022年の減価償却費3500万円
→減価償却費の増分1500万円
▶税率30%(利益は確保できる→税率を加味)
【再現答案】
(設問1)
a 2200万円
b (2500-1500)×(1-0.3)+1500=2200
※旧レジの下取りに関するCFが加味されておらず誤り。
備考
旧レジの下取り代8万円×100台=800万円
旧レジの残存価額2000万円
→売却損2000ー旧レジ下取益800=1200万円
1200×0.3=360万円のCF+
よって、2200+360=2560万円が正解です。
【考えたこと】
▶やばい時間ない…
▶加点要素を盛り込もう
▶第2問で「投資すべきでない」として第3問で投資するパターンだろう
【再現答案】
NPV=-21000+8×100+4.212≒10.9万円
NPVはマイナスとなり取替投資すべきではない(不正解です)
備考
・COF
レジ取替(210-8)×100台=20200万円
20,200-(100×100台×0.943)※=10770万円・・A
・CIF
人件費削減と減価償却費 2500×0.7+1500×(1ー0.3)=2200万円
特別損失と下取り 360=2560万円
(360×0.943)+2,200×(0.943+0.890+0.840+0.792+0.747+0.705) =11156.88万円・・B
・NPV
AーB=11156.88ー10770=386.88万円
NPVがプラスであり、当該取替投資案を採用する
【考えたこと】
▶問題…長っ!
▶パス!
▶「NPVの問題ということは分かってます」はPRしとこ
【再現答案】
NPV=・・・
備考
考えることをやめました
第3問
D社は現在、新規事業として検討している魚種Xの養殖事業について短期の利益計画を策定している。
当該事業では、自治体からの補助金が活用されるため、事業を実施することによるD社の費用は、水槽等の設備や水道光熱費、人件費のほか、稚魚の購入および餌代、薬剤などに限定される。D社は当面スタートアップ期間として最大年間養殖量が50,000㎏である水槽を設置することを計画しており、当該水槽で魚種Xを50,000㎏生産した場合の総経費は3,000万円である。また、この総経費に占める変動費の割合は60%、固定費の割合は40%と見積もられている。D社が我が国における魚種Xの販売実績を調査したところ、1㎏当たり平均1,200円で販売されていることが分かった。
【考えたこと】
▶総経費3000万円のうち1800万円(60%)が変動費、1200万円が固定費
▶(固定費1200万+利益1500万)÷(1-変動費率0.6)=6750万円
※3000万円のうち60%が変動費、というだけで変動費率が60%ではなく誤りです。
▶6750万円÷1200円/㎏=56,250㎏
【再現答案】
56,250kg
※不正解です
備考
超超超単純ミスです。
この問題を解けていたら+10点のサービス問題だったにも関わらず。。
50,000㎏販売した場合の売上は50,000×0.12万円/㎏=6000万円
よって利益1500万円を達成する場合の売上は
(固定費1200+利益1500)÷(1-変動費率0.3)=3857.142…・・・A
A÷0.12万円≒32,143kg←これが正解
【考えたこと】
▶うわっ明らかに難しいやつ(優先順位は低い)
▶NPVの問題は手が出なかったし、シンプルにやばい!
▶力づくで解くしかないか…
【再現答案】
3,000×0.6÷50,000=0.036万円
30,000㎏の場合 30,000×(0.124-0.036)-3000×0.4=1,440万円
よって単価を1,060円とする。
X-X×(0.106-0.036)-1200=1500
X≒38,572kg
備考
スマートに解くことを放棄し、単価がいくらなら成立するのかを考え、順番に検証しました。
すると、目標販売量30,000㎏で単価1060円とすると1440万円の利益となり、おそらく30,000㎏超~40,000㎏以下のゾーンで1500万円の利益を創出することができると確信しました。
泥臭くチャレンジすると解けた問題でした。
「あれ、、設問1間違ってないか?!」と試験直後に気づきました…。
(設問1)移動販売事業をネット通販事業に一本化することによる短期的なメリットについて、財務指標をあげながら40字以内で述べよ。
【考えたこと】
▶「短期的な」はキーワード
▶「経営指標」を忘れない
▶売上増加(または改善)と費用削減の両面からアプローチしよう
【再現答案】
車両、人件費の減少により営業利益率、有形固定資産回転率が改善する。
備考
大きくは外してないのではないでしょうか
【考えたこと】
▶「企業価値を低下させない」=「企業価値を向上させる効果がある」
▶例え赤字でも地域貢献を果たしていれば企業価値は高まる可能性がある
▶他事業に活かせる要素はないか(シナジーに触れたい)
【再現答案】
理由は①社会貢献により企業価値が高まるため、②自社配送のシナジーを活用できるため。
備考
設問1と同様、大きくは外してないのではないでしょうか
▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△
以上、全く手ごたえのなかった私が考えた結果、たどり着いた答案でした。
わりと学習していたから大痛手にならなかった、と前向きに捉えることにします。
最後までご覧いただきありがとうございました。